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> [!NOTE] 目次
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> [!NOTE] リスト掲載用文字列
- [AI時代を勝ち抜く人材戦略--リアルタイムデータと人間性を軸にしたリスキリング再設計](https://japan.zdnet.com/article/35240762/)【ZDNET JAPAN】(2025年12月01日)
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> [!NOTE] この記事の要約(箇条書き)
- AIが急速に仕事のあり方を変革し、「AIに仕事を奪われる」という不安が広がっている。
- NVIDIA CEOのJensen Huang氏は、「AIを使いこなす人に仕事が奪われる」と述べ、変化の速度が企業対応を凌駕していると指摘。
- LinkedInの調査では、東南アジアで2030年までに必要なスキルの最大72%が変化すると予測。
- 日本を含むAPAC地域でもAIによる大規模な人員再編が進み、深刻な人手不足とAI導入の影響で企業競争力が問われている。
- 日本のITリーダーの77%が生成AI、63%がデータストリーミングプラットフォームに注目する一方、「スキルと専門知識のギャップ」が課題(42%の企業が回答)。
- 多くのリスキリング講座がAIツールの操作方法に終始し、AI活用に不可欠なリアルタイムデータの理解が不足している。
- AIは正確で高品質なリアルタイムデータに依存しており、バッチ処理型の思考から「常時稼働型・フロー型の意思決定」への転換が求められる。
- シンガポールのUOB銀行は、業界認定研修や社内キャリアチェンジプログラム「Better U Pivot」を通じて従業員のリスキリングを推進し、AIと人間による新たな成果創出の事例を示している。
- リアルタイム対応型人材を育てるための3つの実践策:
1. リアルタイム成果を前提に役割を再設計する。
2. 実務に即した没入型学習プログラムを構築し、データストリーミングの基礎を組み込む。
3. 政府・業界の支援を活用し、職務特化型の深いスキル習得を促す。
- AIが事実を処理し、人間が「思いやり」(他者理解、共感、配慮)をもって意味を与え、解決策を創造する時代が到来しており、人間性を軸にした人材戦略が不可欠である。
> [!NOTE] 要約おわり
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AIが業務や職務の在り方を急速に変える中、「AIに仕事を奪われるのではないか」という不安が広がっています。実際、定型業務はAIに置き換わりつつあり、AIを使いこなすリスキリングも活発になっています。しかし、これからのAI時代に求められるのは、単なるツール操作の習得だけではありません。
カギとなるのは、リアルタイムに流動する膨大なデータを活用し、AIと協働して即座に意思決定につなげるスキルです。本稿では、リアルタイムデータの活用と教育がなぜ企業競争力の核心となるのか、先進的な事例とともに解説し、さらにAI時代において人間が発揮すべき本質的な価値「思いやり」がなぜ不可欠なのかを提示します。
## AI時代の労働市場再編で日本にも迫る構造変化
「全ての仕事が影響を受けるとともに、その変化は即座に訪れます。これは疑いようのない事実です。AIに仕事を奪われるのではなく、AIを使いこなす人に仕事が奪われるのです」
2025年5月、米国カリフォルニア州で開催されたミルケン研究所のグローバルカンファレンスにおいて、NVIDIAの創業者で最高経営責任者(CEO)のJensen Huang氏が語ったこの言葉は、もはや未来の予測ではなく現実となりつつあります。AIはすでに世界中の職場、デバイス、そして私たちの日常生活に深く浸透しており、変化のスピードは企業の対応を凌駕(りょうが)し、労働市場すらも再構築しつつあります。
LinkedInが発表した調査によると、東南アジアでは生成AIの普及により、2016年時点と比べて2030年には必要なスキルの最大72%が変化すると予測されています。これは、過去数十年の技術変化をはるかに超える規模であり、極めて短期間で職務内容やスキル構成が大きくシフトすることを意味します。
2025年半ばには、こうした予測がアジア太平洋地域(APAC)で現実のものとなり始めています。大手多国籍企業や急成長したスタートアップは、AIによる業務効率化と新たな事業環境への適応を目的に、大規模な人員再編や役割の再設計を発表しました。
この動きはAPAC全体に広がり、日本も例外ではありません。国内では人員削減が進む一方で、深刻な人手不足を原因とする倒産が過去最多を記録しています。つまり、AI導入の影響は単なる業務効率化にとどまらず、企業競争力と個人の市場価値を根本から揺さぶる課題となっているのです。
## 生成AI導入とスキルギャップの現実
企業の組織再編が進む中、日本では生成AIを活用した高度な業務効率化が注目されています。米Confluentの「2025年データストリーミングレポート」によると、今後注目すべき技術として、日本のITリーダーの77%が「生成AI」を、63%がリアルタイムで大量のデータを処理・分析する「データストリーミングプラットフォーム」を挙げています。
しかし、技術導入のスピードに対して人材の準備は追いついていません。同レポートは日本の労働力が、データ分析やリアルタイムシステムのスキル面で準備不足であることを指摘しています。企業の42%が、AIや機械学習の導入を加速する上で「スキルと専門知識のギャップ」を最大の課題であると回答しました。
日本に限らず、シンガポールにおいても従業員側がスキルギャップを不安視しており、2024年には55万5000人がシンガポール政府支援のスキルアップ制度「SkillsFuture」を活用しました。これは2023年の約3倍で、AI、サイバーセキュリティ、デジタルマーケティング関連の講座が特に人気でした。
多くの従業員がリスキリングに力を入れている一方で、なぜスキルギャップは容易に埋まらないのでしょうか。それは、多くの講座がAIツールの操作方法に焦点を当て、表面的な理解にとどまりがちだからです。AIを最大限に活用するためには、その根幹を支えるリアルタイムデータの理解が不可欠となります。データが常に流れ続け、即座に活用される時代には、俊敏性、文脈理解、迅速な意思決定能力を組み合わせた新しい思考法が求められています。
## バッチ処理からの脱却が求められるAI時代の思考転換
AIは単独で完璧に機能するわけではなく、正確で高品質なリアルタイムデータに依存しています。金融詐欺の検知、サプライチェーンの混乱への即応、顧客体験のパーソナライズなど、AIが成果を出すためには、常に新鮮で流動的なデータが不可欠です。リアルタイムデータがなければ、AIは的外れな分析やタイミングを逸した意思決定しか提供できず、むしろリスクを生む可能性があります。
それにもかかわらず、多くの従業員やチームは依然として、一定期間ごとにデータをまとめて処理するバッチ処理型の世界で訓練され、過去のイベントを集計したダッシュボードやレポートを基に意思決定を行っています。しかし現代の業務では、イベント発生の瞬間にリアルタイムで即応することが求められています。つまり、企業はAIツールの使い方だけでなく、「常時稼働型・フロー型の意思決定」という原則に基づいて人材を再教育する必要があります。
こうしたリアルタイム対応は、単なるツール操作ではなく、企業文化や設計思想の転換を伴います。クラウド上で柔軟にシステムを動作させる「クラウドネイティブ思想」や、システム間の連携を優先する「APIファースト」といった設計思想に慣れていない従業員にとって、これは技術的にも心理的にも負荷が大きい課題です。企業はイベントドリブン型業務を前提に従業員の思考転換を支援しなければ、生産性、適応力、そして市場価値は確実に低下してしまうのです。
[PAGE 2](https://japan.zdnet.com/article/35240762/2/)
## UOB銀行に見るAI時代のリスキリング戦略
現代の企業競争において先頭を走る企業は、単なる自動化の推進者ではありません。仕事の在り方そのものを再定義し、新しい価値を創造する企業こそがAI時代の先陣を切っています。
このアプローチを実践する企業の一例が、シンガポールのUOB銀行です。同行は銀行金融協会やワークフォース・シンガポール、シンガポールの高等専門学校であるニー・アン・ポリテクニックとスキルアップパートナーシップを提携し、生成AIやデジタルリテラシー、データ活用スキルに関する業界認定の研修プログラムを開発しています。これにより、従業員がAIを日常業務に取り入れ、生産性を高めるための基盤を整えています。
さらにUOB銀行は社内キャリアチェンジを支援する12カ月間の再スキルプログラム「Better U Pivot」を提供しています。このプログラムでは、パーソナライズされたスキル評価とキャリアパスを通じて、従業員が新しい役割にスムーズに移行できるよう後押しします。実際、カードや保険の営業管理職を務めていた従業員が、研修を通じてデータ分析や生成AIツールの活用スキルを身につけ、プライベートバンキング部門のデジタルエンゲージメント担当へとキャリアチェンジしました。AIを活用することで、クライアント向けコンテンツのパーソナライズやレポート作成の効率化を実現し、AIの分析力と人間の判断力を統合した新しい成果を生み出しています。
このような先進事例はあるものの、AI時代に人材をどう育てるか、企業、政府、教育機関はまだ試行錯誤の段階です。個人の思考力を磨くことが最大の課題ですが、日本では自己啓発への消極性という懸念も残っています。
## リアルタイム対応型人材を育てる3つの実践策
それでは、UOB銀行の事例から何が学べるのでしょうか。企業がAIを最大限に活用するためには、人材育成において実践的アプローチが不可欠ですが、具体的には次の3つの取り組みが有効です。
### 1\. リアルタイム成果を前提に役割を再設計する
役職名を変更するだけでは不十分です。意思決定プロセスに基づき業務を再構築し、従業員が重要なタイミングで流動するデータに関与できるようワークフローを設計する必要があります。例えば、倉庫管理者が日次レポートを待つのではなく、ライブダッシュボードでボトルネックを監視し、即座に在庫を再配置できる仕組みです。
### 2\. 実務に即した没入型学習プログラムを構築する
学習プログラムは現実のビジネス課題に即して設計すべきです。例えばカスタマーサポートチームは、顧客の感情が急変する状況を模擬したライブ対応のシミュレーションを行います。この訓練に高度なエンジニアリングスキルは不要ですが、データがどのように流れ、変換され、意思決定を引き起こすかという基本理解は必須です。そのため、データストリーミングの基礎として、ストリーミングパイプライン、イベント駆動型アーキテクチャー、ライブ運用ダッシュボードなどをスキルアップの中核に組み込むべきです。
### 3\. 政府・業界の支援を活用し、表面的理解から深いスキルへ
APAC各国の政府は研修助成金を提供していますが、多くの場合、受講内容は表面的なデジタル講座にとどまることが現実です。企業はその一歩先を行き、職務特化型の学習プランを設計すべきです。例えばリスク管理チームにはイベントベース思考を、営業部門にはAPI活用スキルを習得させることが重要です。さらに、データストリーミングに関する認定資格を提供するテクノロジー企業と連携し、スキルの深化を促す必要があります。ストリームネイティブ技術に基づくプログラムは、ライブデータフローの設計、分析、対応に必要な実践的スキルを強化します。
## AIが事実を処理し、人間が意味を与える時代
歴史の転換点では、産業革命、デジタル化、グローバル化といった変化が仕事の形を塗り替え、古い職業が消え、新しい役割が生まれてきました。今、私たちはAI時代という大きな変革のただ中にいます。この時代に真の競争力を持つのは、単に最新技術に投資する企業ではなく、従業員がAIとともに成長できる環境を築いた企業です。
AIが定型業務を担うようになれば、私たち一人ひとりが発揮できる価値は、非定型的で創造的な領域に集中します。その中心にあるのは、他者理解、共感、配慮といった概念、すなわち「思いやり」です。AIやアルゴリズムは膨大なデータを処理し、事実を提供できます。しかし、その事実から相手の状況や感情を想像し、文脈を理解して、意味を与え、解決策を創造するのは人間の役割です。
人と人、人とAIの協働から生まれるイノベーションを支えるのは、古典的でありながら普遍的な、人に対する思いやりの力です。AIが事実を処理し、人間が意味を与える時代において、企業が競争力を維持するためには、この人間性を軸にした人材戦略が不可欠です。技術と人間性の両輪で未来を築くため、今こそ企業は役割設計と育成方針を抜本的に見直すときなのです。
**石井晃一**
Confluent Japan カントリーマネージャー
16年以上にわたり、さまざまな業界の顧客がデジタルワールドで成功するための戦略計画と実行に携わる経験を持つ。TaniumとVMwareで日本における営業リーダーとして事業拡大とパートナーエコシステム強化に従事。その後、Rubrikで日本事業をゼロから構築し、社内外の組織間で戦略的コラボレーションを推進。現在は、Confluentで日本担当カントリーマネージャーを務める。
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