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> [!NOTE] 目次
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> [!NOTE] リスト掲載用文字列
- [情シス一筋30年:PCもAIも、時代は変われど「どう提供するか」がその後の生産性を左右する](https://enterprisezine.jp/article/detail/23743)【EnterpriseZine】(2026年03月17日)
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> [!NOTE] この記事の要約(箇条書き)
- バンダイナムコホールディングス情報システム部ゼネラルマネージャー暉由紀氏の30年にわたる情シスキャリアへのインタビュー。
- PC導入期からAI時代まで、「ITの提供方法」がその後の生産性を大きく左右するという考えを一貫して持っている。
- 現在は、グローバルなセキュリティ・データガバナンスの方針策定と、国内約30社へのITサービス提供(特に内製化)に注力している。
- AI活用では、プロンプトの追求ではなく、データの質とルール整備が最も重要であると語る。
- 情シスの役割は技術職から「判断職」へと変化しており、事業への愛着と戦略的思考を持つリーダーが求められると述べている。
- グローバル対応においては、技術以前に担当者間の関係性構築が成功の鍵であったと振り返っている。
> [!NOTE] 要約おわり
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バンダイナムコホールディングス 情報システム部 ゼネラルマネージャーの暉由紀さんは新卒から一貫して情シスのキャリアを歩む。Windows 95が発売された1995年にバンダイへ入社し、社員にPC操作を教えるところから情シスのキャリアが始まった。30年を経た今、グループのIT戦略を統括し、グローバルガバナンスの設計からAI活用のルール整備まで手がける。自身を「あまり自信がない」「自分で切り開くタイプではない」と明かす暉さんが、それを補うように積み上げてきたものとは。情シスが技術職から「判断職」へと変わりつつある今、リーダーに必要なものを聞いた。
- Page 1
- “面白い社員”のアイデアを横展開していきたい
- 先手を打って「やっておいてよかった」の積み重ね
- [Page 2](https://enterprisezine.jp/article/detail/23743?p=2)
- [AIの使い方は千差万別 だからこそ、追求するのはデータの質](https://enterprisezine.jp/article/detail/23743?p=2&anchor=0)
- [Page 3](https://enterprisezine.jp/article/detail/23743?p=3)
- [デジタル時代の幕開け「PC普及」に奔走した日々が今も根底に](https://enterprisezine.jp/article/detail/23743?p=3&anchor=0)
- [情シスは「判断職」事業に愛着のある戦略家がリーダーになる時代](https://enterprisezine.jp/article/detail/23743?p=3&anchor=1)
## “面白い社員”のアイデアを横展開していきたい
**酒井真弓:** まず暉さんの役割と、特に力を入れていることをお聞かせください。
**暉由紀:** 大きく2つです。グローバルのセキュリティやデータガバナンスの方針づくりと、国内のグループ約30社へのITサービス提供。その中で特に注力しているのが、内製化です。外部にお願いすると、どうしてもこちらの意図が伝わりきらないことがあります。社員同士で進めるほうが、我が事で業務理解もあるから割と一発で決まる。手戻りも少ないんです。
今は主に「intra-mart」というワークフロー基盤の上で、申請系システムを中心に開発しています。グループのある会社向けに作ったシステムを他社にも展開できるのが、シェアードサービスの強み。まだ小粒なシステムが多いですが、徐々に大きな案件にもチャレンジしていきたいです。
**酒井:** データ活用も積極的に取り組んでいる印象があります。
**暉:** データ活用は、個社や事業のレベルでは既に成果が上がっています。グループ横断でのデータ活用も進んでいますが、データガバナンスのルール整備がこれからですね。ここが整うと、より活用が加速していくと考えています。たとえば、データレイクに集めてBIで可視化するところまでは整備されているのですが、「このデータを誰が見ていいのか」「誰がOKを出せば共有していいのか」といったルールが決まっていないから、積極的に活用できていない。しかもこれからAIが本格的に入ってくると、人間とは比べものにならないスピードでデータを読み込んでいく。ルールが曖昧なまま走らせるわけにはいかないので、ここは急がないといけないですね。
当社は面白い社員が多く、新しいことを思いつく人はたくさんいます。でもそうした良いアイデアや取り組みを、グループで横展開する仕組みがまだ弱い。そこを整えるのも私の役割だと思っています。

株式会社バンダイナムコ ホールディングス グループ管理本部 情報システム部 ぜネラルマネージャー 暉由紀さん
## 先手を打って「やっておいてよかった」の積み重ね
**酒井:** グループ情報セキュリティ委員会の初代事務局長も務められたそうですね。グループ各社との連携体制はどう整備されたんですか?
**暉:** もう十数年前になりますが、本を読んで、「よし、この通りに作ろう」と(笑)。CISOを置いて、各社に係を設け、名簿を整備し、規程集にセキュリティポリシーを組み込んでいきました。体制自体はかなり早くできたと思います。ただ、仏作って魂入らずで、しばらくは「言われたからやってみましたけど」という空気が続きましたね。
変わったのは、世の中の方が追いついてきてからです。今は生きていること自体がデジタルじゃないですか。スマートフォン、SNS、クラウドと次々に登場し、ビジネスとITが直結するようになった。そうなると「これは危ない」と社員一人ひとりが自分で察知するようになるんですね。経営陣の関心も非常に高く、セキュリティ施策を持っていくと「これでは手ぬるい」と追い返されるくらいです(笑)
**酒井:** 暉さんは、常に先を読み、切り開いていくタイプのリーダーですね。
**暉:** いや、私は自分で切り開くタイプの人間ではないんですよ。あまり自信がないというか、内心おどおどしていて、説得に行くのも得意ではないですし、たまたま周りに力のある人がいて、たくさん助けていただきながら進めてきました。「こうするべきだ」と思っても、「あれがまだ揃ってないから難しそうだな」などと悩んでいるうちに何年も経っているということも結構あります。ただ、先に仕込んでおいたものに結果が追いついてきたとき、「あぁ、やっといてよかった……」と。その積み重ねです。
**酒井:** グローバル対応にも早くから取り組まれたそうですね。
**暉:** 当社は2005年9月にバンダイとナムコが経営統合してできた会社で、国内でもシステムはバラバラ、海外はなおさらでした。ガバナンスも統制が効いていなかったんです。でも、これは困るだろうと、2014年にグローバルでMicrosoft 365(旧Office 365)の導入を提案しました。
海外だけでも子会社が50社ほどありますから、個別に対応するのは非現実的です。そこで各リージョンに協力者を見つけて、その人を中心にその地域内でサービスを提供できる体制を作ってもらったんです。最初はなかなか理解を得ることが難しかったのですが、今となってはこれがグローバルガバナンスの肝になっています。「やっておいてよかったじゃん案件」の一つです。誰も褒めてくれないですけど(笑)
**酒井:** 言葉も文化も違う中で、どうやってまとめていったんですか?
**暉:** その2年ほど前から、年に1度、グローバルのIT担当者を集めて顔合わせの場を作っていました。ミーティングの後は、みんなでわいわい食事に行く。今でも続けています。実際に面と向かって話をしてみると、「私もそうだと思ってた」と共感してくれる人ばかりで、志を共有できたんですね。グローバル対応は、仕組みの話をする前に、関係性を作ることが重要なのだと実感しました。
**酒井:** 結局は人と人なんですね。
[PAGE 2](https://enterprisezine.jp/article/detail/23743?p=2)
## AIの使い方は千差万別 だからこそ、追求するのはデータの質
**酒井:** AI活用についても聞かせてください。
**暉:** 事業側でのAI活用は様々です。グループ内にはAIを専門にしている会社もあるなど、グループ会社が事業特性に応じて取り組んでいます。私の役割は、ガードレールを作ることですね。AIが勝手にデータを読み回る環境を放置するわけにはいきませんから、ルール整備は今まさに取り組んでいるところです。
コーポレート部門では、昨年「AI活用チャレンジ」というキャンペーンを実施しました。手挙げ制で、「この業務課題をAIで解決したい」と宣言した人にCopilotを渡して伴走するというものです。約150人が参加し、半数はそのままCopilotが業務に定着しています。解決方法がAIではないという結論に至ったものもあり、もう半数はクローズしましたが、AI活用をきっかけに業務改善に目が向くようになったという効果がありました。
**酒井:** やってみて、気づいたことはありますか?
**暉:** AIの使い方は人それぞれだということです。持論ですが、仕事の相棒としてAIとうまく付き合うには、自分なりの聞き方と、返ってきた答えの解釈の仕方を身につける必要がある。AIにも調子がいいときと悪いときがありますよね。「今日は調子悪いな」と思ったら、「今日は君の意見は聞かないことにするよ」と切り替えられるかどうか。その見極めができないまま使っていると、ダメだったときにだまされたような気持ちになってしまう。一人ひとりがAIとの付き合い方をつかめてくると、生産性は上がっていくんだろうなと思っています。
**酒井:** 万人に効くマニュアルはない、ということですね。

ノンフィクションライター 酒井真弓(著者)
**暉:** それと、実は半年かけて全社で使えるプロンプトを100本用意したことがあるんです。精度も良かったですし、専門の会社と協力して一緒に参加した情報システム部のメンバーにとっても学びも大きかったのですが、AIの進化が速すぎて、できあがった頃にはもう陳腐化していました。以前はきちんとしたプロンプトでないとまともな答えが返ってこなかったのが、今はモデル自体がかなり賢くなっている。もはやプロンプトを追求する方向ではないなと。
では何を追求すべきか。自分たちが持っているデータの質と量です。あるセミナーで、講師の方がリアルデータを使ってCopilotの実演をしてくれたことがありました。すごい精度で答えが返ってくる。こちらも張り切って同じようにやってみるんですけど、まったく精度が出ない。持っているデータの質がまるで違うからなんですよね。
**酒井:** 私も他の人がうまくいったプロンプトをそのまま使ってみて、全然しっくりこなかった経験があります。同じ道具でも、持っているデータや使う文脈が違えば、結果は変わりますよね。
**暉:** そうなんです。AI活用の本丸は、データのルール整備と質を上げること。結局そこに戻ってくるんです。
[PAGE 3](https://enterprisezine.jp/article/detail/23743?p=3)
## デジタル時代の幕開け「PC普及」に奔走した日々が今も根底に
**酒井:** ここからは暉さんのキャリアを聞かせてください。ITとの出会いは、いつですか?
**暉:** 10歳ですね。
**酒井:** 早い!
**暉:** 誕生日にポケットコンピュータ、いわゆるポケコンを買ってもらったんです。プログラミングができる電卓の化け物みたいなやつで、BASICでプログラムが書ける。これにのめり込んで、漠然と「この道で食べていこう」と。就職活動でも、情報システム部かSIerか、そのどちらかしか考えていませんでした。
1995年にバンダイに入社し、念願の情報システム部に配属されました。ちょうどWindows 95が発売された年です。ただ、当時はまだ社員に1人1台のPCはなく、部門に共用のPCが1、2台あるだけ。社員は黒い画面に緑の文字がチカチカするダム端末で仕事をしていました。入社する前の年まで部署の名前は「経理部電算課」で、ITというよりは「電算」の時代。これから「IT」に変わっていこうという、まさに転換期でした。

画像を説明するテキストなくても可
**酒井:** 最初に任されたミッションは何だったんですか?
**暉:** 「PCを定着せよ!」です。全社員にPCを配って、クリックの仕方からレクチャーしました(笑)。メールに慣れてもらうのも大変で、「電話とファックスがあるのに、なぜメールを使わなきゃいけないのか」といった方々を説得する日々でしたね。同期にもう一人IT好きがいて、2人で必死にやっていました。自作でオリジナルの“パソコン検定”まで作って、しかも初級・中級・上級まで用意したかな。それを全社員に受けてもらったり、Excelの使い方テキストも自作したりしました。
PCが定着した後もまた一苦労。現場にExcelマスターが現れて、化け物みたいなファイルを作り始めるんです。その人が異動すると誰も引き継げず、結局こちらに「どうにかしてくれ」と駆け込んでくる。
決して思い描いていた情シスの仕事ではなかったんです(笑)。でも、この経験があったからこそ、「提供の仕方を間違えると全社員の生産性が下がる」ということに早い段階で気づけました。間違ったものを間違った形で渡したら、みんなが毎日数分ずつムダにする。当時は「PC」でしたが、今は「AI」でまったく同じことが起きています。あの頃の感覚が、30年経った今もそのまま判断の軸になっています。
## 情シスは「判断職」事業に愛着のある戦略家がリーダーになる時代
**酒井:** キャリアを振り返って、情シスの仕事はどう変わりましたか?
**暉:** 今の情シスって、もうシステムだけの仕事ではないんですよね。私自身、プログラミングはもうしていないし、設計もしていません。自分でコンフィグを打ちますかと言ったら、打ちません。では何をしているかというと、いま何が求められていて、会社の環境や世の中がこうだから、この選択をしようと、そういう判断をする仕事になっている。技術職というより判断職ですよね。仮に「情シスは技術職だから女性にはちょっと」という感覚があるとしたら、もうそういう話ではなくなっています。むしろそれで構えてしまうようなら、技術職と捉えない方がいいんじゃないかと思いますね。
**酒井:** 暉さんは、情シスが技術職ではなくなっていくことをどう感じますか?
**暉:** 寂しいですよ。やはり私たちの仕事は手を動かしてなんぼだと思うので。でも、それとリーダーに何が必要かは別の話です。技術のことは外部にお願いできる。情シスの一番の強みは、自社のビジネスを知っていて、事業に愛着があることなんです。だからこそ、「この領域にこの技術をはめたら、こんなにいいことが起きるんじゃないか」という発想ができる。一手打つだけで大きく良い影響が広がる場所はどこか。それを考えられる人がリーダーになった方がいい。

画像を説明するテキストなくても可
**酒井:** 暉さんはコロナ禍前から場所にとらわれない働き方の整備にも取り組まれてきたそうですね。プライベートとの両立で意識していることはありますか?
**暉:** 毎朝5時15分に起きて、1時間は好きなことをする時間にしています。仕事はしない。それだけですけど、その1時間のおかげで、その日を自分のペースで始められる。両立なんて大げさに考えず、ただ、自分のための1時間を確保する。それくらいのことでいいんじゃないかなと。
ちなみに、会社では「効率化だ、生産性だ」と言ってますけど、家の中はまだ思うようにスマート化できていません。一時期アレクサに電気を消してもらっていたんですけど、自分で消した方が早いと気づいてからは放置しています。唯一使うのは、ブーツを履いた後に電気の消し忘れに気づいて、玄関から「アレクサー!電気消してー!」と叫ぶときくらい(笑)。最近は勝間和代さんのYouTubeを観て、ヘルシオに味噌汁を作ってもらおうかなと思っているところです。
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AIの使い方は千差万別 だからこそ、追求するのはデータの質](https://enterprisezine.jp/article/detail/23743?p=2)
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