# 20.(2012年)資料組織化部会報告【将来構想会議】 平成24年11月19日 資料組織化部会 資料組織化部会では、「私たちの使命・目標2012-2016」で示された使命及び目標の内容を基本的な姿勢とし、紙、電子等の媒体の別又は当館における所蔵の有無に関わらず、利用者が多様な情報資源を一元的に入手及び活用できるために必要な組織化のあり方について検討した。その結果を報告する。 ## 目次 ```table-of-contents title: minLevel: 0 maxLevel: 0 includeLinks: true ``` ## 1. 基本方針 ### (1) 対象 - 当館における組織化では、以下の情報資源を対象とする。 - 当館が収集、保存及び提供する多様な媒体の資料 - 書誌データ、典拠データ、個別資料に関する情報[[20.(2012年)資料組織化部会報告【将来構想会議】]]等の二次情報(以下「メタデータ」という。) これら情報資源の収集(受入)、保存及び提供の各目的に応じた組織化の内容と方法を検討する。 - 当館が収集・保存しない資料についても、利用者が確実にアクセスできるよう、他機関との交換及び共有を目的としたメタデータの調整を行う。 - 特に、東日本大震災の記録等に関しては、収集範囲としている主題、形式のものを網羅的に組織化し一元的に検索できるように調整する。 ### (2) 観点 次の5つの観点から、今後、当館が進める組織化の方向性を検討する。 - サービスの利便性向上 - 媒体に関わらずメタデータを一元的に扱えるフレームワークの構築 - メタデータの網羅性・信頼性の向上 - メタデータ作成作業の効率化及び迅速化 - 国立図書館としての貢献 ## 2. 具体的方向性 ### 2.1. サービスの利便性向上 #### (1) 利用者の多様なニーズに応じたサービス実現に必要なメタデータの検討 利用者が的確かつ容易に資料を発見、識別、選択及び入手できるサービスを実現するために必要なメタデータを検討する。また、当館が提供するメタデータの利活用による新たなサービスの創出を促進するため、インプロセス段階も含めたメタデータの多様な提供を実現する。 メタデータには、資料の検索及び識別に必要な書誌情報及び典拠情報に加え、提供、保存等に必要な管理情報及び権利情報等も含まれる。さらに、著作と体現形(電子媒体及び紙媒体)の関連性(例:同一著作のデジタル化した画像及び原資料)を表現するメタデータ、及び目次、要約、主題情報等を充実させる。また、刊行形態が電子媒体の雑誌記事索引採録誌についても継続的な記事情報の提供を目指す。 特に、電子媒体の資料(電子情報)について、資料本体のテキスト情報や付属するプロパティ情報等から必要な情報を自動的かつ正確に抽出し、メタデータとして補完できるような技術の適用可能性を調査するとともに、当館の組織化における適用範囲も検討する。 また、あいまい検索や連想検索、異なる媒体又は版の資料(著作)をまとめて表示するサービス等の要件を洗出し、組織化において実現可能な範囲を明確にし、その実現のための技術を調査する。 #### (2) 電子情報及びメタデータの開放性向上 インターネット上で利用者が様々な方法で入手し活用できるような電子情報及びメタデータの提供を目指し、必要な取組や法的・技術的課題を検討する。また、「電子行政オープンデータ戦略」[[20.(2012年)資料組織化部会報告【将来構想会議】]](2012年7月4日IT戦略本部)の基本原則に準じ、各省庁及び関連機関[[20.(2012年)資料組織化部会報告【将来構想会議】]]等の検討・取組状況を踏まえながら、他機関との連携も視野に入れ、当館が所有する電子情報及びメタデータの積極的な提供を目指す。必要に応じて、「国立国会図書館作成データベース提供方針」(平成20年国図総080717001号)等の当館内の方針も見直すこととする。 ### 2.2. 媒体に関わらずメタデータを一元的に扱えるフレームワークの構築 #### (1) MARCに替わるフレームワークの構築 従来扱ってきた資料だけでなく、電子情報も一元的に扱うためには、MARCフォーマットには限界があり、Linked Open Data[[20.(2012年)資料組織化部会報告【将来構想会議】]]に対応する等ウェブ環境に適したフレームワーク[[20.(2012年)資料組織化部会報告【将来構想会議】]]を構築する必要がある。既に米国議会図書館(LC)が進めているMARCフォーマットに替わる新しい書誌フレームワークの開発[[20.(2012年)資料組織化部会報告【将来構想会議】]]動向等に注意を払いつつ、日本の言語環境等に適したフレームワークを検討する。そのため、以下の取組を進める。 - メタデータのセマンティクス(意味)の共通化に留意し、各要素及び要素の記述方法の標準化を進める。 - データ間に同一著者や主題等の関連性を持たせることで、利用者が一つのデータから様々な資料にたどりつけるようにする。 - 書誌レコードの単位でなく、書誌レコードを構成するデータ間で対応付け(リンク)できるようにする。 - FRBRの概念モデルで表現されている「著作」「表現形」「体現形」及び「個別資料」等の実体間の関連性を記述できるようなフレームワークを構築する。 - ウェブ上の多様な情報資源と相互運用性が高いRDF(Resource Description Framework)で表現できるようにする。 #### (2) メタデータ作成基準の作成 今後の当館におけるメタデータ作成基準の方向性について検討する。具体的には、平成24年度末を目処に、日本目録規則(NCR)に準拠して作成している和図書等の書誌データについて、現在改訂中のNCR又は国際的な目録規則であるRDA(Resource Description and Access)のいずれに対応するか決定する。 また、紙と電子の媒体の種別ではなく、インターネット資料、古典籍、地図資料等の資料の種別ごとの特性に応じ、書誌及び典拠コントロールの範囲や記述の精粗のレベル等を検討し、メタデータの作成基準を策定する。 ### 2.3. メタデータの網羅性・信頼性の向上 #### (1) 統制語彙を用いた検索のための典拠データ等の拡充 信頼性の高い検索に資するよう、典拠データの作成対象の拡大、並びに主題情報及び各種コード類付与の拡充を行うため、以下の取組を進める。 - 典拠データの作成対象を日本語以外の外国刊行資料、博士論文、雑誌記事索引、電子情報等に拡大する。 - 典拠データの種類を統一タイトル、ジャンル形式等に拡充する。 - 現状においてNDLSHやNDCを付与していない資料群への付与や、運用していないコード類及び標準識別子等の運用を開始する。 - 検索語の推薦機能(サジェスト機能)の範囲と精度を向上させるため、統制語彙を充実させる。また、JST等の関連機関が管理するシソーラスや辞書サービスとの連携を検討する。 - 今後も全ての典拠データに一意の永続的な識別子を付与する。 - バーチャル国際典拠ファイル(VIAF)[[20.(2012年)資料組織化部会報告【将来構想会議】]]等を通じて、同一実体に関する別機関の典拠データ等と関連付ける。他言語で作成された典拠データを所有する関係機関との連携を促進し、海外からの日本語資料の入手可能性を向上させる。また、日本の利用者による海外の他言語資料の検索を容易にする。 - 複数の典拠データベース間の関連性についても公開、共有することで、その関連付けを利用者が活用できるようにする。 #### (2) 永続的識別子の付与 利用者が情報資源を一意に識別し、確実にアクセスするため、永続的な識別子を付与する。識別子には、文字列ではなく、機械可読形式であるURI(Uniform Resource Identifier)を可能な限り用いることとする。URIを用いることで、情報資源を自動的に関連付けることができる。今後、当館における識別子付与の体系、対象及び単位を検討する。また、ジャパンリンクセンター(JaLC)で付与するデジタルオブジェクト識別子(DOI)や一般に普及している標準的な識別子との関連性に留意する。 #### (3) メタデータの補完 メタデータの内容をより充実させ、利用者のアクセス可能性を向上させるため、メタデータ作成部署以外が付与する情報や、信頼性を担保した外部資源の活用可能性を調査・検討する。たとえば、当館が作成したレファレンス情報、解題等もメタデータに付加する。また、当館が提供するメタデータに対し、利用者がコメントや注釈を行ったり、既存の書評情報やWikipedia等の辞書と紐づけたりできるようにする。また、これらの付加された情報を活用し、利用者ニーズの把握や検索結果の表示順の改善等当館のサービス向上に資することも検討する。 ### 2.4. メタデータ作成作業の効率化及び迅速化 国内及び国際標準への準拠に留意するとともに、出版・流通業界、関係機関等と連携の上、様々な資源、知識、技術を活用し、効率化及び迅速化を図る。 #### (1) メタデータの作成 次の方法により、記述規則の簡素化・合理化を図る。 - メタデータの品質を確保するため、記述する要素は削減せず、記述の仕方を簡略化する。 - 紙と電子の媒体の種別ではなく、インターネット資料、古典籍、地図資料等の資料の種別ごとに定めた作成基準に基づき、メタデータの均質化を図る。 - 特に、全国書誌で提供するオンライン資料及び従来の図書館資料のメタデータについて、それぞれの粒度を検討する。 - 既にプロパティ情報等としてメタデータが付与されている電子情報を有効活用するための技術を調査する。 - タイトルや識別子等の検索や識別に必要な最小限のメタデータと、分類、件名等が付与された精緻なメタデータのそれぞれの内容を検討する。 #### (2) メタデータの流通(外部作成書誌情報の活用と、外部への書誌情報の提供) 外部機関が作成する書誌情報(民間MARC・出版情報)の当館における活用方法を検討する。 民間MARCの調達が不安定なことに起因するデータ品質維持のコスト増大、また、民間MARC利用がメタデータのオープン化の妨げになる等の課題の解決方法を検討する必要がある。そのため、民間MARCや出版情報と当館が必要とするメタデータの内容や対象範囲について相違点を具体的に洗出し、利用可能性を調査する。必要に応じて、相互に利活用可能なデータとなるよう、調整することも視野に入れる。 新着書誌情報等の当館が作成したメタデータの外部への提供については、利用者(利用機関)のニーズに応じ、メタデータの開放性を高め、再利用、加工に関して限定を設けない等の提供方法を検討する。 ### 2.5. 国立図書館としての貢献 #### (1) 全国書誌の提供範囲の拡大 国立国会図書館法第7条に規定する「日本国内で刊行された出版物」に該当する電子情報のメタデータについて、新たに全国書誌に収録し提供する。平成25年7月から開始されるオンライン資料の制度収集開始までに、IFLAガイドライン「デジタル時代の全国書誌」[[20.(2012年)資料組織化部会報告【将来構想会議】]]等を参考に、具体的な提供範囲や方式等を整理する。 これにより、従来の資料のみならず、電子情報のメタデータについても、国際的な流通に貢献することができる。 #### (2) 国内で流通するメタデータの調整 当館が保有しているか否かを問わず、国内で流通・交換するメタデータの調整機能の確立を目指す。また、書誌情報だけでなく、関係機関における資料のデジタル化や著作権処理の状況についても調整・管理することで、重複作業を防ぎ、効率的に連携体制を構築することができる。そのほか、当館が日本センターとして管理しているISSNについて、電子雑誌への普及を促進する。 ### 2.6. 体制と資源配分の見直しに向けて 以上の観点から、当館における組織化業務の実施体制と方法を見直す必要がある。また、人的資源、外注予算等の資源配分についての見直しも必要である。 具体的な見直しについてはさらに検討を要するが、ここでは、見直しにあたっての基本的な考え方を示す。 #### (1) 業務・作業体制の見直し 組織化業務体制を、大きく次の業務に分けて見直しを行う。 - 書誌調整・標準化 - 記述 - 分類・標目付与 (ア)、(ウ)について、紙、電子等の媒体の別にかかわらず、組織・体制の統合による効率化について、検討を行う。 (イ)については、組織化の前段階である収集と連動する業務であり、資料形態・種別による業務内容等の差異が大きいため、収集業務に合わせた体制を想定する。 #### (2) 業務・作業体制の見直し 組織化業務は、方向性として、システムによるノウハウの蓄積と自動組織化を目指すが、今後5年間において、人的資源なしで実施できる形にはなりえない。 職員の行う作業については、図書館員としての高度な専門知識やノウハウを要する作業を主に担う方向で見直しを行う。 - 具体的には、著者名典拠の新規作成や主題分析及び主題アクセスポイント(件名、分類)の付与、典拠作成に主軸を置く方向で検討する。 - 外注に関しては、これまでの作業に加え、メタデータ補正作業の一環として、メタデータと既存の著者名典拠とのリンク作業など、範囲を拡大する。 - 記述に関しては、可能な限り、外部作成資源を活用する。また、既存のメタデータの記述内容の補正作業の負荷を減らすため、ある程度の正確性が担保された外部作成資源(民間MARC、出版情報等)の活用可能性を検討するとともに、メタデータの作成基準を見直し、表記のブレ等について可能な限り許容する方向で省力化を図る。それにより、紙、電子等の記述に関する資源配分を見直す。